○対馬市文化財保護条例
平成16年3月1日
条例第106号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 対馬市文化財保護審議会(第5条―第7条)
第3章 市指定有形文化財(第8条―第23条)
第4章 市指定無形文化財(第24条―第29条)
第5章 市指定有形民俗文化財・市指定無形民俗文化財(第30条―第38条)
第6章 市指定史跡名勝天然記念物(第39条―第43条)
第7章 補則(第44条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定により、法の規定に基づく指定を受けた文化財及び長崎県文化財保護条例(昭和36年長崎県条例第16号。以下「県条例」という。)の規定に基づく指定を受けた文化財以外の文化財で市の区域内に存するもののうち市にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資するとともに、文化の進歩に貢献することを目的とする。
(文化財の定義)
第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。
(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第3条 市民は、市がこの条例の目的を達成するために行う措置に、誠実に協力しなければならない。
2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
3 対馬市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(調査)
第4条 教育委員会は、必要があると認められるときは、所有者及び権原に基づく占有者の同意を得て文化財を調査することができる。
第2章 対馬市文化財保護審議会
(審議会の設置)
第5条 教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項を調査審議し、及びこれらの事項に関し委員会に建議するため、教育委員会に対馬市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
(委員)
第6条 審議会は、委員18人以内をもって組織する。
2 委員は、学識経験のある者のうちから教育委員会が委嘱する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
4 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(調査専門員)
第7条 文化財の専門的事項を調査するため必要があるときは、審議会に調査専門員を置くことができる。
第3章 市指定有形文化財
(指定)
第8条 教育委員会は、市の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定により重要文化財に指定されたもの及び県条例第4条第1項の規定により県指定有形文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものを対馬市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするときは、教育委員会は、あらかじめ、指定しようとする有形文化財の所有者又は権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。
3 第1項の規定による指定をするときは、教育委員会は、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知するものとする。
5 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第9条 市指定有形文化財が市指定有形文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
3 市指定有形文化財について法第27条第1項の規定による重要文化財の指定があったとき又は県条例第4条第1項の規定による県指定有形文化財の指定があったときは、当該市指定有形文化財の指定は解除されたものとする。
4 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第10条 市指定有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、市指定有形文化財を管理しなければならない。
2 市指定有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該市指定有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、市指定有形文化財の所有者は、その旨を教育委員会規則で定める書面により教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任したときも、同様とする。
4 教育委員会は、市指定有形文化財についてその所有者が判明しない場合又は当該所有者による管理が困難若しくは不適当と認められる場合には、当該所有者(判明しない場合を除く。)の同意を得て、適当な管理責任者を指定し、又は教育委員会自ら管理責任者となってこれを管理することができる。
5 管理責任者については、第1項の規定を準用する。
(所有者又は管理責任者の変更)
第11条 市指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、教育委員会規則で定める書面により、かつ、旧所有者に対し交付された指定書を添えて、速やかに教育委員会に届け出なければならない。
2 市指定有形文化財の所有者は、管理責任者を変更したときは、教育委員会規則で定める書面により、新管理責任者と連署の上速やかに教育委員会に届け出なければならない。この場合においては、前条第4項の規定は適用しない。
3 市指定有形文化財の所有者又は管理責任者(教育委員会を除く。以下同じ。)は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、教育委員会規則で定める書面により、速やかに教育委員会に届け出なければならない。
(滅失、き損等)
第12条 市指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者。次条において同じ。)は、教育委員会規則で定める書面により、速やかに教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第13条 市指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、その所有者は、教育委員会規則で定める書面により、速やかに教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合には、届出を要せず、又は教育委員会規則で定めるところにより所在の場所を変更した後届け出ることをもって足りる。
(管理又は修理の補助)
第14条 市指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、その所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、市は、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 教育委員会は、必要があると認めるときは、前項の補助金を交付する市指定有形文化財の管理又は修理について必要な事項を指示することができる。
(管理に関する命令又は勧告)
第15条 市指定有形文化財を管理する者が不適任なため又は管理が適当でないため市指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、市指定有形文化財の管理をする者の選任若しくは変更、管理方法の改善、防火施設その他の保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を命じ、又は勧告することができる。
2 前項の規定による命令又は勧告に基づいてする措置のために要する費用は、その全部又は一部を市の負担とすることができる。
(現状変更等の制限)
第16条 市指定有形文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を行う場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
2 市指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の規定による届出に係る市指定有形文化財の修理に関し技術的な指導と助言を与えることができる。
(公開)
第18条 市指定有形文化財の公開は、所有者が行うものとする。ただし、管理責任者が定められている場合は、管理責任者が行うものとする。
(教育委員会等による公開)
第19条 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため、当該市指定有形文化財を出品することを勧告することができる。
2 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、期間を限って、当該市指定有形文化財の公開を勧告することができる。
4 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る市指定有形文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
(所有者以外の者による公開)
第21条 所有者以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて市指定有形文化財を公開しようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。
2 教育委員会は、前項の許可を与える場合において、その許可の条件として、許可に係る公開及び当該公開に係る市指定有形文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
(報告)
第22条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定有形文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該市指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(所有者変更等に伴う権利義務の承継)
第23条 市指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該市指定有形文化財に関しこの条例に基づく教育委員会の命令、勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、当該市指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
第4章 市指定無形文化財
(指定又は認定)
第24条 教育委員会は、市の区域内に存する無形文化財(法第71条第1項の規定により重要無形文化財に指定されたもの及び県条例第23条第1項の規定により県指定無形文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものを対馬市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をすることに当たっては、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(市指定無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知するものとする。
5 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(指定又は認定の解除)
第25条 市指定無形文化財が市指定無形文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 市指定無形文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、市指定無形文化財の保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由がある場合は、教育委員会は、保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
4 市指定無形文化財について法第71条第1項の規定による重要無形文化財の指定があったとき、又は県条例第23条第1項の規定による県指定無形文化財の指定があったときは、当該指定無形文化財の指定は解除されたものとする。
5 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該指定無形文化財の保持者として認定されていた者又は保持団体として認定されていた団体の代表者に通知しなければならない。
(保持者及び保持団体の変更等)
第26条 市指定無形文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときその他教育委員会規則の定める理由があるときは、保持者又はその相続人は、教育委員会規則で定める書面により、速やかに教育委員会に届け出なければならない。市指定無形文化財の保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について、同様とする。
(保存)
第27条 教育委員会は、市指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を行うことができるものとし、市は、保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第28条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し当該市指定無形文化財の公開を、市指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
2 市は、前項の規定による市指定無形文化財の公開及び記録の公開に要する費用の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第29条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体その他の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第5章 市指定有形民俗文化財・市指定無形民俗文化財
(有形民俗文化財の指定)
第30条 教育委員会は、市の区域内に存する有形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要有形民俗文化財に指定されたもの及び県条例第29条第1項の規定により県指定有形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものを、対馬市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)に指定することができる。
(無形の民俗文化財の指定又は認定)
第31条 教育委員会は、市の区域内に存する無形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要無形民俗文化財に指定されたもの及び県条例第29条第1項の規定により県指定無形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものを、対馬市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による市指定無形民俗文化財の指定をするに当たっては、当該市指定無形民俗文化財の保存団体(市指定無形民俗文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定することができる。
(市指定有形民俗文化財の指定の解除)
第32条 市指定有形民俗文化財が市指定有形民俗文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
3 市指定有形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要有形民俗文化財又は県条例第29条第1項の規定による県指定有形民俗文化財の指定があったときは、当該市指定有形民俗文化財の指定は解除されたものとする。
(市指定無形民俗文化財の指定又は認定の解除)
第33条 市指定無形民俗文化財が市指定無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 市指定無形民俗文化財の保存団体がその構成員の異動のため保存団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由がある場合は、教育委員会は、保存団体の認定を解除することができる。
4 市指定無形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要無形民俗文化財又は県条例第29条第1項の規定による県指定無形民俗文化財の指定があったときは、当該市指定無形民俗文化財の指定は解除されたものとする。
7 市指定無形民俗文化財の保存団体の認定の解除の通知を受けたときは、保存団体として認定されていた団体の代表者は、その認定に係る認定書を教育委員会に返付しなければならない。
(市指定有形民俗文化財の現状変更等)
第34条 市指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、教育委員会規則で定めるところにより、教育委員会にその旨を届け出なければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を行う場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
3 市指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、第1項の届出に係る市指定有形民俗文化財の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な事項を指示することができる。
(市指定無形民俗文化財の保存)
第36条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形民俗文化財について自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を行うことができるものとし、市は、保存団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(市指定無形民俗文化財の記録の公開)
第37条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
(市指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第38条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存団体その他保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第6章 市指定史跡名勝天然記念物
(指定)
第39条 委員会は、市の区域内に存する記念物(法第109条第1項の規定により史跡、名勝又は天然記念物に指定されたもの及び県条例第34条第1項の規定により県指定史跡、県指定名勝又は県指定天然記念物に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものを対馬市指定史跡、対馬市指定名勝又は対馬市指定天然記念物(以下「市指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第40条 市指定史跡名勝天然記念物が市指定史跡名勝天然記念物としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
3 市指定史跡名勝天然記念物について法第109条第1項の規定による史跡、名勝若しくは天然記念物の指定があったとき又は県条例第34条第1項の規定による県指定史跡、県指定名勝若しくは県指定天然記念物の指定があったときは、当該市指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。
(現状変更等の制限)
第42条 市指定史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を行う場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
第7章 補則
(委任)
第44条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成16年3月1日から施行する。
附則(平成18年3月27日条例第2号)
この条例は、公布の日から施行する。