○対馬市政治倫理条例

平成17年1月5日

条例第1号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託に基づくものであり、公職にある者が私的な利害関係によって、公職の遂行を妨げられることがあってはならないことを認識し、その担い手たる市議会議員(以下「議員」という。)並びに市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)は、市民全体の奉仕者として、その人格と政治倫理の確立、向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図らないことを市民に宣告するとともに、議員、市長等が職務遂行の公正性及び高潔性を実証するために必要な措置を定めることにより、良心に従い誠実かつ公正にその職務を全うすべきことを促し、清浄で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員、市長等の責務)

第2条 議員、市長等は、日本国憲法第11条及び第14条を尊びつつも市民全体の代表者として、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、自らの品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。

(宣誓書の提出)

第2条の2 議員は、この条例を遵守する旨の宣誓を行うものとし、議員の任期開始の日から30日以内に、別に定める宣誓書を議長に提出しなければならない。

2 議長は、前項の宣誓書を提出しない議員があるときは、その氏名を速やかに公表しなければならない。

(政治倫理基準)

第3条 議員、市長等は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市及び市が関係する公共事業(下請工事を含む。)、業務委託、物品納入及び使用資材の購入等の請負、その他の契約に関し、特定の企業、団体等のために有利な取り計らいをしてはならない。

(2) 市職員(会計年度任用職員を含む。)の採用に関して懇願、推薦又は紹介をしてはならない。

(3) 政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、第8条に定める政治倫理審査会に自ら出席し、潔い態度をもって疑惑の解明に協力し、その責任の所在を明らかにしなければならない。

(4) 政治活動に関し、企業団体等から、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附を受けないものとし、その後援団体についても同様に措置すること。

(5) 常に市民全体の利益のみをその指針として行動するものとし、その地位を利用しいかなる金品も授受しないこと。

(6) 市民全体の代表者として、その地位と名誉を害するような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

2 公共事業関連以外での公的施設、団体等への食材その他の納入業種及び納入上限金額等については、別にこれを定め、倫理基準から外れるものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、自ら主権者として市政を担い、公共の利益を実現する自覚を持ち、議員、市長等に対して次に掲げる働きかけを行ってはならない。

(1) 前条第1号に規定する公共事業等への指名又は選定の依頼

(2) 前条第2号に規定する市職員の採用に関しての懇願、推薦又は紹介

(市の公共工事等に関する遵守事項)

第5条 議員、市長等の配偶者、1親等の親族(姻族を除く。)、議員、市長等が役員をしている企業並びに議員、市長等が実質的に経営に携わっている企業及び法人(以下「関係企業」という。)は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第92条の2、第142条、第166条並びに第180条の5第6項及び第7項の規定の趣旨を尊重し、第3条第1項第1号に規定する公共事業等に係わる請負契約は、自主的に辞退することとし、いやしくも市民に対しては、疑惑の念を生じせしめるようなことがあってはならない。ただし、実質的に経営に携わっている企業とは、次の各号に掲げるものをいう。

(1) 議員、市長等の配偶者、1親等の親族(姻族を除く。)、議員、市長等が資本金その他これに準ずるものの3分の1以上を出資している企業

(2) 議員、市長等の配偶者及び議員、市長等が年額300万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を受領している企業

(3) 議員及び市長等がその経営方針に関与している企業

2 前項の規定により、議員、市長等が関与する関係企業が公共事業等に係わる契約を辞退しようとするときは、市民に疑惑の念を持たれないように責任を持って、関係企業の辞退届を議員又は市長等の任期開始の日から30日以内に、議員にあっては議長に、市長等にあっては市長に提出するものとする。ただし、任期開始の日後に第1項に規定する事実が生じた場合は、当該事実が発生した日から30日以内に提出するものとする。

3 議長は、前項の規定により提出された辞退届の写しを市長に送付しなければならない。

4 議員、市長等の辞退届の提出状況については、市報で公表するものとする。

(指定管理者の指定に関する遵守事項)

第6条 前条第1項に規定する企業又は議員、市長等若しくはその配偶者若しくは1親等の親族(姻族を除く。)が役員をしている法人その他の団体は、法第244条の2第3項に規定する指定管理者とならないように努めなければならない。

(社会福祉法人等の役員の就任に関する遵守事項)

第7条 議員、市長等は市から補助金等(対馬市補助金等交付規則(平成16年対馬市規則第37号)第2条第1項に規定するものをいう。)の交付を受ける社会福祉法人、学校法人及びNPO法人について、報酬を受領する役員に就任しないよう努めなければならない。

(政治倫理審査会の設置)

第8条 政治倫理に関する必要な事項を調査するために、法第138条の4第3項の規定に基づき、市長の附属機関として対馬市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、12人以内の委員をもって組織する。

3 審査会の委員は、社会的信望があり、地方自治に関し高い識見を有し、かつ政治倫理の調査に関して専門的知識を有する者のうちから議長と市長が協議の上、市長が任命する。

4 審査会の委員の任期は、4年とし、再任はこれを妨げない。委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、出席委員の3分の2以上の同意を要する。

6 審査会の委員が審査の対象となる議員又は市長等と2親等以内の場合は、当該審査から外れるものとする。

(守秘義務等)

第9条 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。委員を退職後も同様とする。

2 審査会の委員は、その職務を政治的目的のために利用してはならない。

3 審査会の委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。

(市民の調査請求権)

第10条 市民は、議員、市長等が第3条第5条第6条及び第7条の規定に違反する疑いがあると認めるときは、これを証する書面を添えて、法第18条に定める選挙権を有する者の中から、100分の1以上又は300人以上の連署と共に文書で、議員にかかわるものは議長に、市長等にかかわるものは市長に調査を請求することができる。

2 議長及び市長は、前項の規定により調査の請求を受けたときは、7日以内にその書面の写しを添えて審査会に調査を求めるものとする。

3 議長は、前項の規定により議員に対する調査請求を受けたときは、その書面の写しを市長に送付するものとする。

4 市長は、前項の規定により市長等に対する調査の請求を受けたとき、又は第1項の規定により、自らに対する調査の請求を受けたときは、直ちに審査会に審査を付託しなければならない。

5 第1項の規定により調査の請求を受けたもののほか、この条例に定める政治倫理基準に違反している疑いがある場合は、前項に準じ、議長及び市長は、審査会に調査を求めなければならない。

(政治倫理違反の審査)

第11条 審査会は、前条第3項及び第4項の規定による審査を付託されたときは、当該事案の適否又は存否の審査を行い、審査会が必要と認める措置を勧告することができる。

2 審査会は、前項の審査を行うため、事情聴取等必要な調査を行うことができる。

3 第1項の規定による勧告は、文書をもって行い、かつ、事由を付さなければならない。

4 審査会は、第1項の規定による審査を付託された日から60日以内に調査を完了し、調査書を議長及び市長に報告しなければならない。

5 審査会は、前項に規定する期間内に審査を終了することができないことについてやむを得ない理由があるときは、第1項の審査を付託された日から90日を限度として、その期間を延長することができる。この場合において、審査会は、当該延長の理由を市長に報告するものとし、市長は、議員に係る報告についてはその写しを議長に送付しなければならない。

6 市長は、前項の調査報告で違反している調査結果を受けたときは、その旨を市報で公表するものとする。第10条第1項の場合においては、10日以内に請求者に文書で回答するものとし、速やかに公表しなければならない。

(議員又は市長等の協力義務)

第12条 議員又は市長等は、審査会からの要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。

(照会)

第13条 審査会は、必要と認める場合は公務所又は公私の団体に照会して、事案の実態を明らかにするものとする。

(虚偽陳述等の公表)

第14条 審査会は、議員又は市長等が第11条の規定による事情聴取等について虚偽の陳述をしたとき、又は調査に協力しなかったときは、その旨を公表するものとする。

(収賄罪等宣告後における説明)

第15条 議員又は市長等が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4まで又は第198条に定める罪により有罪の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、議員については議長が、市長等については市長が市民に対する説明会を開かなければならない。

2 前項の説明会において市民は、当該議員又は市長等に質問することができる。

3 第1項に定める説明会開催の手続のほか、その運営に関し必要な事項は、議会及び市長においてこれを定める。

(収賄罪等確定後の措置)

第16条 議員又は市長等が前条第1項の有罪の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、議会又は市長は、その名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するために必要な措置をとるものとする。

2 議会は、前項の当該議員に議会の品位に反する行為があると認めるときは、法第134条及び135条の規定に基づき懲罰を科することができる。

(遵守事項の違反行為に対する措置)

第17条 審査会において公共事業に関連して違反があるという調査報告書が提出された場合には、市長は、既に契約済みであっても、当該公共事業に係る契約等を解約し、又は中止することができる。

(委任)

第18条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成17年6月1日から施行する。

(平成17年6月27日条例第47号)

(施行期日)

1 この条例は、平成17年7月1日から施行する。

(平成19年3月26日条例第9号)

(施行期日)

1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(平成20年7月18日条例第24号)

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第2条の2の規定については、同日以後初めてその期日が告示される一般選挙後から適用する。

(平成21年12月28日条例第34号)

この条例は、平成22年4月1日から施行する。

(平成27年7月10日条例第6号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和元年12月18日条例第32号)

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

対馬市政治倫理条例

平成17年1月5日 条例第1号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第1節 事務分掌
沿革情報
平成17年1月5日 条例第1号
平成17年6月27日 条例第47号
平成19年3月26日 条例第9号
平成20年7月18日 条例第24号
平成21年12月28日 条例第34号
平成27年7月10日 条例第6号
令和元年12月18日 条例第32号