平成31年度 施政方針

更新日:2021年04月01日

はじめに

 平成31年度の一般会計予算及び特別会計予算のご審議をお願いするにあたり、予算編成方針とその概要をご説明申し上げます。

 本年は、天皇陛下ご退位と皇太子殿下ご即位、そして元号が平成から新元号となる歴史的な節目の年となります。このような中、昨年は対馬市を訪れた外国人観光客数が41万2,782人に上り、国際旅客船の増便等から、初めて40万人の大台を超えた年でございました。また、喫緊の課題であります人口減少対策におきましても、一昨年4月に施行されました「有人国境離島法」による雇用機会拡充支援事業により、島外企業の参入やU・Iターン者の雇用、島内企業と高校生のマッチング支援、一次産業における後継者対策などが奏功し、転入者が増加傾向にあります。これにより、対馬市の人口動態における社会増減の状況は、平成28年の416人の減に比べ、平成30年は149人の減と267人の社会減が縮小している状況であります。
 私は、この機を捉え「交流人口の更なる拡大」、「健康・福祉の充実」、「一歩前を見た投資」を念頭に予算を編成いたしました。

 まず、「交流人口の更なる拡大」でありますが、昨年の韓国人観光客のみの動向では40万9,882人であり、一昨年の35万6,316人から5万3,566人の増であります。これら韓国人観光客が本市にもたらした経済効果を推計いたしますと、一昨年の韓国人観光客35万6千人による観光消費額は、約80億円と推計されており、その経済効果は本市一般会計予算の4分の1にも及ぶものとなっております。ついては、本年も韓国人観光客はもとより、国内観光客の誘致と観光施策の充実をハード・ソフト両面で推進してまいりたいと考えております。
 加えまして、本年、通称「離島甲子園」として定着してまいりました国土交通大臣杯「全国離島交流中学生野球大会」が対馬市開催となります。大会期間中は、参加選手団や関係者への対馬の豊かな歴史と文化や自然等をアピールする機会と捉え、島をあげた「おもてなしの心」でお迎えしたいと考えております。

 次に「健康・福祉の充実」でありますが、第1次ベビーブームに生まれた世代が75歳以上となる超高齢社会が2025年に到来いたします。推計では、75歳以上の後期高齢者が全人口の約4分の1となり、介護・医療費などの社会保障費が急増することが予測されます。高齢者の方が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる地域づくりを目指すための「地域包括ケアシステム」の体制づくりを充実させてまいります。
 我が国は、10人に1人が認知症となる社会の到来が予測されていることから、誰もが学べ、誰もが実践できる認知症ケアの普及促進のため、市内の施設スタッフや在宅で認知症の家族を抱える方がそのケアを実践できるよう講座の開設や研修助成に取り組みます。
 併せて、医療費の削減や市民の健康増進を推し進めるためには、「がん検診」の受診率を高めることが不可欠であることから検診受診者の自己負担額の軽減を図るための予算を計上いたしました。さらに高齢者の方々に働くことを通じて生きがいを得ていただくために「シルバー人材センター」の拠点を中対馬、北部対馬管内まで拡大させ、全島組織化に向けて組織体制の整備や強化に努めてまいります。

 次に「一歩前を見た投資」でございますが、雇用機会拡充支援事業や後継者対策事業などが奏功し、転入者の増加傾向により社会減が縮小している状況を捉え、本年度もさらに人口減少に歯止めをかけるべく、雇用機会の拡充支援や移住・定住支援対策を重点施策として昨年に引き続き実施してまいります。
 併せて、これまでの取組をさらに充実させるため、新たな「奨学金制度」を創設し、大学等を卒業後、対馬市に移住・定住し、一定期間居住・就業した方にその返還を猶予・免除する支援策を構築いたしました。加えて、他の奨学金を借り受け、現在、返還中の若者が同様の基準を満たした場合には、その返還額の一部を支援する制度も創設するなど、島を愛する若者の郷帰りや移住を促進し、ひいては、生産年齢世代、出産・子育て世代の増加につなげてまいります。
 現在、AI(人工知能)技術の進歩は目覚ましく、自動運転技術の実用化については、特に、中山間地域をはじめ、離島へき地や様々な分野において大いに期待されているところでもあります。
 本市では、過疎化・少子化に伴い島内の交通手段も縮小され、一部では日々の生活にも支障が出ていることから、昨年4月に設立されました明治大学自動運転社会総合研究所と自動運転技術研究の実証に向けて、対馬市をフィールドとした共同研究事業に取り組みます。
 また、将来的な共同研究事業として、産業や環境保護対策の分野においても実証実験等を検討してまいります。

 また、産業振興への取組としましては、基幹産業であります農林水産業において、輸送コスト等の助成をはじめとして、可能な限りの振興費を計上いたしましたが、なかでも対馬市の特産品であります「原木しいたけ」の生産現場において、生産者の高齢化が進んでいることから、生産量を確保するためにも原木供給の支援策を構築しております。また、漁業資源の枯渇等に対応するため、共同漁業権区域内に今年度も3箇所に魚礁を設置することとしております。

 教育費関係におきましては、学校生活に適応できない不登校児童生徒等の相談・適応指導・学習指導の取組を長年行って頂いておりましたフリースペース「みちしるべ」に代わり、平成31年度以降は、教育支援センターとして対馬市が運営することといたします。

平成31年度の予算編成

 平成31年度予算は、これらの重点施策及び有人国境離島法に係る施策を中心に、対馬ならではの地域の活性化を図り、市民の所得向上と福祉の充実を目標に編成いたしました。

 その概要をご説明申し上げます。

 予算規模でございますが、一般会計予算と6つの特別会計予算を合わせた予算総額は、402億1875万円となっております。

 また、地方公営企業法の適用を受けます水道事業会計は、

  • 収益的収入 11億 8,721万7千円
  • 収益的支出 10億 3,495万5千円
  • 資本的収入 2億 9,753万3千円
  • 資本的支出 7億 375万6千円

としております。

 一般会計につきましては、308億5,900万円とし、平成30年度当初予算と比較いたしますと2.9%の減となりますが、この要因は、博物館建設事業の事業費の減によるものでございます。
 また、介護保険特別会計につきましては、介護保険地域支援事業特別会計を統合したことにより、同会計は、対前年度比1.8%の増となっております。
 次に、歳出予算についてご説明申し上げます。
 まず、主な取組についてでございますが、第2次対馬市総合計画に掲げる将来像の「4つの挑戦」を柱に、予算編成をいたしました。

 まず、1番目に、"若者でにぎわう希望の島"
 ~ひとづくり~ への挑戦でございますが、

 新たな取組として、一つ目に、経済的な理由により就学が困難な生徒に対し、学資を貸与し有為な人材の育成を図るとともに、定住を促進することにより地域の活性化を図るため、1億円を拠出し、「対馬市奨学資金基金」を新たに設置いたします。この奨学資金は、従来の貸与型に止まらず、定住等による一定条件を満たせば全額返還免除も可能な制度といたしました。また、大学生等に限定せず、市内の高校に進学をする生徒も対象としているところでございます。
 このため、「酒井豊育英資金貸付基金」につきましては、関係者のご理解を得ましたので、その目的を新たな基金に引き継ぐことにより廃止とし、その財産も編入してまいります。
 加えて、若年層の定住促進を図るため、奨学金を返還するU・Iターン者等で本市に就職した若者に対し、一定条件を満たせば奨学金返還額の一部を支援する制度も新たに構築しております。

 二つ目に、全国の離島中学生が一堂に会し、野球を通じて「島」と「島」の交流を図ることにより、新たな人材形成と健全な青少年・少女の育成を図るため、通称「離島甲子園」対馬大会を8月19日から22日にかけて開催することとしております。前身の大会である平成19年の地元開催以来、2回目の地元開催となります。
 大会では、全国の離島から20数チーム、約640名の来島者が見込まれ、大会の成功はもとより、対馬の魅力発信と認知度向上につながるよう取組を進めてまいります。

 三つ目に、学校生活に適応できず不登校の状態若しくはその傾向にある児童生徒に対して、学校適応、学校復帰を目指した適切な支援を行うため、対馬市教育支援センター「みちしるべ」を新たに設置いたします。
 本施設は、長年、ボランティアにより運営されてきたフリースペース「みちしるべ」に代わり、その積み上げてきた実績を引き継ぎ、拡充するために設置をするものでございます。

 次に、移住・定住支援につきましては、人口減少対策の重要施策と位置づけ、しまぐらし情報の発信、受入体制の整備を図るため、「しまぐらし応援室」に協働隊員であるしまぐらしコーディネーターを配置し、各担当部局との情報共有、事業連携を図りながら、きめ細やかな支援に努め、U・Iターン希望者からの相談、問い合わせに対応しているところです。
 また、お試し住宅、定住支援住宅の利活用の推進や新たな定住支援住宅の確保に努めるとともに、インセンティブ施策として、結婚奨励金、引越費用、住宅家賃支援等の移住・定住支援補助金など、移住・定住対策に重点的に予算措置を行っております。
 域学連携地域づくり推進事業は、学生の活力と大学の専門性による地域産業の活性化を図るために実施しておりますが、発展期の最終年度である平成31年度に制度の再構築を図ります。

 子どもは、対馬の将来を担う大切な宝です。子育てを地域全体で支え、助け合い、子どもたちがゆとりを持って、心身ともに健やかに育ち、安心して子育てができる環境づくりを推進してまいります。
 「子ども・子育て支援新制度」を円滑に実施するとともに、子育てに関する相談、情報の提供・助言などを行う地域子育て支援拠点事業、放課後等における子どもたちの安全・安心な居場所づくりを推進するための放課後児童健全育成事業のほか、子どもの健康保持と子育て家庭の経済的負担の軽減を図るための子ども医療費助成事業、保育料の軽減等を引き続き実施してまいります。

 快適に安心して学べる学校教育環境を構築するため、トイレの洋式化、有害鳥獣対策フェンスの設置などを計画的に実施するとともに、学校教育の充実を図るため、いじめや不登校などに対応するためのスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを継続的に配置するほか、学習支援員、教育相談員・介助員、学校図書支援員を増員し、きめ細やかな支援を行います。
 また、校務の標準化、業務改善を行い、教職員の業務負担軽減及び教育の質の向上を図るため、県内全ての学校におけるシステムの共通化を目的とした校務支援システムを導入いたします。

 次に、「子ども夢づくり基金」を活用して、子どもの夢づくりを育成するため、体験学習やスポーツ・文化活動、地域間交流などの事業を積極的に推進し、高校生の就学活動の一部支援も引き続き実施してまいります
 また、少子化に伴う保育所、幼稚園、学校の適正規模、適正配置について、地域の皆様と十分な協議を重ねながら取り組んでまいります。
 対馬の子どもが減少するなか、複式学級の解消や小規模校の存続等に向けた「島っこ留学推進事業」を積極的に推進するとともに、子ども議会開催など、郷土を愛する人材(つしまっ子)の育成を図っていきます。

 2番目として、"地域経済が潤い続ける島"
 ~なりわいづくり~ への挑戦でございますが、

 新たな取組として、一つ目に、「よりあい処つしま」及び「福岡事務所」の移転に伴い、移転先の建物が交通量の多い道路に面する立地条件であることから、2階部分の建物壁面に設置される最新の大型LEDディスプレイを活用し、対馬の魅力ある映像やイベント情報を多くの人にプロモーションすることで、利用客の拡大を図るとともに、対馬市への誘客につなげてまいります。

 二つ目に、国内外の旅行者が島内観光地を快適に巡っていただくため、公衆トイレを和式から洋式に計画的に整備し、観光地のイメージ向上を図ります。

 三つ目に、インバウンド施策の一環として、島内におけるキャッシュレス決済を推進し、観光客等の利便性を向上させるため、島内事業者に対し、機器導入に要する費用の一部を支援してまいります。

 次に、対馬の基幹産業である水産業については、水産資源の減少、漁場環境の悪化等による漁獲の減少、漁業者の高齢化並びに後継者不足など、漁業を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続いています。
 このため、魚礁設置事業、藻場の機能維持・回復を図るための水産多面的機能発揮対策事業、食害生物の商品化に関する調査研究事業や漁協の生産、流通、経営基盤等の整備のための産地水産業強化支援事業のほか、漁業所得向上のための新水産業経営力強化事業、漁業用燃油高騰対策事業など、水産業振興のための施策を引き続き実施してまいります。

 農林業においては、対馬ならではの特産品で農林水産省の地理的表示(GI)に登録された「対州そば」の生産量を増加させるためのそば生産出荷奨励事業、対馬しいたけの生産量のアップ、普及拡大を図るとともに、新たなメニューとして、しいたけ原木供給のための支援策を盛り込んだ対馬しいたけ振興事業のほか、高性能林業機械導入支援事業などに取り組み、農林業の再生と維持を図ります。

 後継者対策については、農業次世代人材投資事業、ながさき森林づくり担い手対策事業、林業の星スキルアップ研修事業及びながさきの浜のひとづくり・しごとづくりプロジェクト事業などを引き続き実施するなど、推進強化を図ります。
 また、農林水産物の輸送コスト支援事業につきましては、有人国境離島法による補助金及び離島活性化交付金を活用し、生産者等への支援を行ってまいります。

 観光業の振興は、経済の活性化と交流人口の増加を図るうえで、重要施策のひとつとなります。昨年、対馬市を訪れた韓国人観光客数は、初めて40万人の大台を超えましたが、今後も、韓国での拠点である「対馬釜山事務所」との連携を強化し、更なる誘客へ向けた取組を進めてまいります。

 一方、国内観光客につきましては、対馬ファン獲得に向けた事業の情報発信拠点である、「福岡事務所」及び「よりあい処つしま」を活用して積極的に国境のしま対馬を発信し、更なる誘客に努めてまいります。
 そのための事業として、有人国境離島法による滞在型観光促進事業を活用して、旅行者にもう一泊してもらうための旅行商品の企画・販売を実施するほか、福岡市と対馬市を含む6離島自治体が連携し、情報発信や旅行商品造成を実施する福岡市・九州離島広域連携事業、博多駅コンコースに設置されているデジタルサイネージに観光情報を映像等で発信する観光情報発信事業などに取り組みます。

 「国境サイクリングin対馬」については、昨年まで試行錯誤しながらの大会運営でございましたが、対馬の自然や風景、特産品などを活用し、市民ボランティアのご協力を得ながら市民と一体となり、韓国からの参加者も促し、対馬市の国際イベントとして定着できるよう取り組んでまいります。

 3番目として、"支え合いで自立した島"
 ~つながりづくり~ への挑戦でございますが、

 新たな取組として、一つ目に、「将来に向けた公共交通対策」でございます。
 過疎化・少子高齢化が進む対馬市において、島内の主たる公共交通機関であるバス事業における人材不足やバス運行費用の増加、生活路線の確保のためなど、将来に向けた対策が必要不可欠と考えております。
 その打開策として、AI(人工知能)の活用によるバスの自動運転化に向けた実証実験を明治大学自動運転社会総合研究所との共同研究事業として取り組みたいと考えております。
 さらに、将来構想として、人工林の伐期を迎えている林業の作業効率化に向けた木材搬出作業の自動運転化、対馬市特有の課題である漂着ゴミ対策としての漂流ゴミの船舶による自動回収等、対馬市が直面する課題解決や地域社会の持続的発展に向けた共同研究事業にも取り組んでいきたいと考えております。

 二つ目に、高齢者の生きがいの創出、地域社会への貢献を目指すために、「シルバー人材センター」の活動拠点を中対馬、北部対馬管内にまで拡大し、対馬市全域での事業展開を図ります。
 また、高齢者等が住み慣れた地域で安心して暮らせるための「困りごと」を支援するために、ワンコイン(100円)で利用できる「ちょこっとサービス事業」をシルバー人材センターの事業として取り組んでまいります。

 三つ目に、認知症や知的障害、精神障害など成年後見の申し立てを要すると判断される方の権利や財産を守るため、対馬市社会福祉協議会内に「対馬市権利擁護センター」を設立するための支援を行います。

 四つ目に、先に触れました認知症対策の一環として、世界中の多くの医療や介護の現場で注目されている認知症ケアの技法習得と普及促進を図るため、講座の開設や研修助成に取り組み、医療介護職員の技術の向上と在宅介護者の精神的負担の軽減につなげてまいります。

 次に、対馬市の高齢化率は2030年には50%を超えることが予測されており、高齢者の方が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる地域づくりのため「地域包括ケアシステム」の体制づくりを充実させてまいります。

 国立がん研究センターから1月に発表された2016年の人口10万人あたりの都道府県別がん患者数では、長崎県が455人でワースト1位でありました。
 この状況から、対馬市として「がん検診」時の自己負担額を最大で2分の1まで軽減することにより、受診率を高め、早期発見、早期治療につなげてまいります

 次に、昨年、日本初となる国際航路への混乗が関係機関のご理解とご協力を得て実現したことは、対馬北部にお住まいの皆様の生活利便性の向上と福祉の充実に大きく寄与するものと考えております。
 このことから、継続的な運航に向けた取組を進めてまいりますので、市民皆様方の積極的なご利用をお願いいたします。
 また、比田勝港国際ターミナルビルの整備について、従来の手法に囚われない官民連携事業(PPP・PFI)による整備・運営についての導入可能性調査を実施いたします。

 有人国境離島法による航路・航空路運賃低廉化事業により、島外への交通アクセスの費用負担の軽減は、大きな成果をもたらしていますが、島民・準島民以外の方への運賃低廉化の実現に取り組み、更なる交流人口の拡大を目指していきます。

 道路交通ネットワークの構築は、生活の安定、経済の活性化のためにも重要な課題であります。国・県道の整備に対する要望を強化するとともに、島内の道路交通網の整備を積極的に推進していきます。また、市民生活に密接な関わりのある市道・農道・林道関係の維持補修費につきましては前年度より増額し、スピード感をもって対応していきたいと考えております。

 次に、交通弱者支援対策として、75歳以上の高齢者の通院・買い物等の交通費を支援する高齢者移動費助成事業や運転免許証自主返納支援事業を引き続き実施するとともに、定期的、かつ継続的な治療を必要とするなど一定の病気をお持ちの方に対し、その通院に要する新たな支援策の構築に向け、関係機関等と協議してまいります。

 市民が「対馬しまづくり」に積極的に参加していただくためには、市政や地域の状況を効率的、効果的に情報共有することが重要です。市民への情報提供の充実、様々な手段による情報発信に努め、市民協働のまちづくりを推進いたします。
 このため、地区集会などの場に訪問する「地域よりあいde"ざっくばらん"」やグループや団体と直接意見交換する「市長への提言かっちぇて!しまづくり」を引き続き取り組んでまいります。

 4番目として、"自然とくらしが共存した島"
 ~ふるさとづくり~ への挑戦でございますが、

 新たな取組として、災害拠点施設としての機能を維持し、市民の安全、安心を守るため、消防署北部支署上対馬出張所の移転建設事業のための設計等に着手します。
 また、高規格救急自動車や小型ポンプ付積載自動車を計画的に更新し、常備消防、非常備消防の充実に取り組んでまいります。

 次に、朝鮮通信使に関する案内板の設置や、ユネスコ記憶遺産登録記念イベントとして、市内において、通信使行列の再現、講演会等を実施するほか、朝鮮通信使のPRのためにラッピングした車輌が大都市圏を走行することにより、「朝鮮通信使といえば対馬市」と多くの人に認識いただけるよう、朝鮮通信使によるまちづくり事業に取り組んでまいります。
 また、日本遺産に認定された構成文化財を紹介する案内板も整備を進めてまいります。

 生ごみ等資源再利用システム事業につきましては、協力世帯の目標数達成に向け、各町にモデル地区を設定し、バイオマス袋の効果を検証するとともに、全地区において説明会を開催するなど、協力世帯の増加に向けた取組を強化してまいります。

 海岸漂着物等地域対策推進事業については、国境離島とういう地理的条件により、避けて通ることのできない課題であり、地域対策協議会において十分な議論を進め、取組を進めてまいります。

 有害鳥獣対策につきましては、引き続き駆除対策を実施するとともに、区域を設定したイノシシ・シカの一斉捕獲対象の地区を増やして実施いたします。

 次に、これらの事業を実施していくために充当する歳入予算でございますが、

 主な内容として、市税は、前年度とほぼ同額の28億9百万円を見込んでおります。
 地方交付税は、国の地方財政計画において、対前年度比1.1%、1,724億円の増となっておりますが、「まち・ひと・しごと創生事業費」、業務改革を反映した経費水準を算定に反映させる「トップランナー方式」などの算定方法の改正があり、配分・算定方法等が不透明な状況であること、加えて、合併優遇措置の段階的縮減が平成30年度で終了し、平成31年度からは本来の算定となることを考慮して、前年度比0.5%の減を見込んでおります。
 さらに、財政調整基金、減債基金、合併振興基金などから約19億5千万円を繰入れるほか、財源補填のある辺地対策事業債、過疎対策事業債、合併特例事業債など約40億4千万円の市債を計上せざるを得ない厳しい予算編成となっております。
 このような状況を踏まえながらも、平成31年度予算編成にあたりましては、これまでの継続事業のほか、新規事業を盛り込むなど、対馬市独自の施策を限られた財源のなかで可能な限り計上したところであります。

おわりに

 以上、市政運営に対する所信の一端と平成31年度の事業内容等について申し述べましたが、今後も、第2次対馬市総合計画に掲げる「みんなで目指そう!自立と循環の宝の島対馬」の実現に向け、市民協働の市政運営に邁進してまいります。
 引き続き、市民の皆様並びに議員各位の大いなるご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、施政方針といたします。

 平成31年2月26日
 対馬市長 比田勝 尚喜

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