【解説4】特定非営利活動とは

更新日:2021年04月01日

特定非営利活動促進法(通称NPO法)においては、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動で、次の17分野のものと定められています。

  1. 保健・医療または福祉の増進を図る活動
  2. 社会教育の推進を図る活動
  3. まちづくりの推進を図る活動
  4. 学術、文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動
  5. 環境の保全を図る活動
  6. 災害救援活動
  7. 地域安全活動
  8. 人権の擁護または平和の推進を図る活動
  9. 国際協力の活動
  10. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  11. 子どもの健全育成を図る活動
  12. 情報社会の発展を図る活動
  13. 科学技術の振興を図る活動
  14. 経済活動の活性化を図る活動
  15. 職業能力の開発または雇用機会の拡充を支援する活動
  16. 消費者の保護を図る活動
  17. これらの各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動

NPO法人の活動分野 …NPO法の17分野の概要

特定非営利活動促進法(通称NPO法) では、「特定非営利活動」として17の活動分野をあげていますが、NPOが法人化しようとするときは、その活動が以下のどれかに該当する必要があります。

1. 保健・医療または福祉の増進を図る活動

健康や医療に関すること、弱者の生活に関する活動はこの分野に該当します。介護保険制度や支援費制度関連のNPO法人が多いようです。高齢者へのサービス、障害者へのサービス、難病患者・薬物依存患者への支援、公衆衛生の啓発、薬品の情報提供など広範囲で、点字・手話サービス等も該当します。

2. 社会教育の推進を図る活動

社会教育とは学校で行われる教育以外の教育をいいます。生涯学習の推進を図る活動や消費者教育、フリースクール、市民大学などの活動が該当します。

3. まちづくりの推進を図る活動

「まちづくり」とは、一定の地域に暮らす人々が、より人間らしく生活してゆくことを目的としたさまざまな活動を指し、その地域の活性化・地域コミュニケーションの活性化など、かなり幅広くとらえることができます。街並み保存、地域商店街の活性化、地域情報紙発行、お祭りなどの地域伝統文化の保存などの活動があります。

4. 学術、文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動

「学術、文化、芸術またはスポーツの振興」を図ることを主目的にしている活動で学術会議、郷土資料館や歴史館、芸術家への支援、地域楽団、地域劇団などの文化振興や伝統文化の振興、継承、スポーツ大会やスポーツ教室の運営、地域スポーツチームの活動が該当します。

5. 環境の保全を図る活動

野生動物の保護、野鳥の保護、森林保全、河川の浄化など自然環境の保全だけではなく、ペットの保護、リサイクル運動、騒音公害調査や公害防止など、愛護動物の保護や住環境の保全を図る活動が該当します。

6. 災害救援活動

災害時に人命救助することや被災者の生活の支援に関する直接的・間接的な活動など幅広く該当します。災害発生時の救援ネットワークづくりや災害後の支援活動、火災などの災害予防、調査研究なども該当します。

7. 地域安全活動

地域における犯罪・事故の予防、犯罪・事故被害者への援助、犯罪を行った者の更正、地域での交通安全活動、地域の消防団、犯罪の防止活動などが該当します。

8. 人権の擁護または平和の推進を図る活動

差別をなくす活動、少数者の権利擁護、人権擁護活動 (障害者・女性・子どもなどあらゆる人権の擁護を図る活動)、冤罪(えんざい)の裁判支援などの人権を守る活動や軍縮、戦争の記録、核兵器廃絶・地雷の禁止などの平和維持活動が該当します。

9. 国際協力の活動

難民支援や開発援助・技術協力など発展途上国における教育や医療支援活動のほか国内での開発教育、留学生の支援活動、帰国者支援や国際交流活動など、国境を越えての交流や協力が該当します。

10. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

性差別の撤廃を促進する活動です。女性の自立支援、セクハラの防止活動や女性の地位向上、女性の雇用の充実を図る活動、男女が均等に利益を受け、責任を持つ社会づくりをめざす活動などが該当します。

11. 子どもの健全育成を図る活動

地域の子供会の活動や非行防止活動、いじめ相談、児童虐待防止、児童相談、保育所の運営、学童保育、帰国子女のサポート、子どもへの野外学習を提供する活動、音遊びの伝承など、子どもの育成を目的とした活動 が幅広く該当します。

12. 情報社会の発展を図る活動

インターネットを利用した学習システムの普及活動など新しい情報通信技術手段の活用を図る活動、デジタルデバイト(コンピュータにおける情報格差)をなくす活動、パソコン教室、コミュニティラジオの推進、インターネットにおける新技術を開発、普及する活動などが該当します。

13. 科学技術の振興を図る活動

新技術を開発し普及させること、または現在活用されてはいないが、優れた技術であり、その技術を普及させる事業がこの分野に該当します。科学や技術への市民の関心を高める活動、科学技術とまちづくりなどの異分野をつなぐ活動、ロボット技術などを若い世代に伝え教える活動が該当します。大学の教授や研究所の研究者が各自の研究を基に新技術の普及を図る活動としてこの分野でNPO法人を設立されたことが多いようです。

14. 経済活動の活性化を図る活動

新しく起業する人を支援する活動や地域全体の経済活性化の促進を図る活動、コミュニティビジネスの研究・支援、地域産業の振興、商店街の活性化、企業への学生のインターシップの推進、ベンチャー企業の支援、 企業のサービスの品質保証といった産業や企業などの活動を支援する活動が該当します。

15. 職業能力の開発または雇用機会の拡充を支援する活動

実際に役立つ資格の取得を支援する活動や就労を希望する人への就労支援、就労情報の提供、雇用の創出を図る活動、職業訓練、障害者への職業訓練などが該当します。

16. 消費者に対して商品に関する情報提供、商品知識の普及を図る活動、危険な商品の検査、消費者詐欺などに関する相談

対応、消費者教育、食品の安全などに関する政策の提言、商品の品質保証をする基準の作成、悪質商法から消費者を守る活動など消費者を保護する活動が該当します。

17. これらの各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動

(1)から(16)までの活動を行う団体に対する助言や支援、団体間の連絡・交流を図る活動です。NPOへの助成活動、運営相談、ボランティアの派遣、NPO運営を支援する情報提供などが該当します。