地価が下がっているのに、なぜ毎年土地の税額が上がるのか?
税額は「課税標準額」で決まります。つまり、税額が上がるということは「課税標準額が上がる」ことになります。また、「評価額」は次回の評価替までは現況が変わらない限り、下がることはあっても上がることはありません。それなのに、なぜ課税標準額は毎年上がるのでしょうか?
解説
課税標準額は、「課税標準額=評価額」が原則です。実際、対馬市でも、10年程前には「課税標準額=評価額」が成り立つような課税計算を行っていました。
ただ、この「評価額」の算定が自治体によってバラバラであったため、同じような土地であっても市町村が違えば評価が異なり、税負担に不公平感がありました。
そこで、平成6年度の評価基準の改正で、土地の評価は全国一律に地価公示価格(正常売買価格)の7割を目標に行うことに決まりました。
それまで対馬市は、地価公示価格の2~3割の評価を行っていたため、平成6年度の評価額は、それまでの2~3倍に跳ね上がり、同時に課税標準額も2~3倍になるはずでした。
しかし、課税標準額を一気に2~3倍にすると、税額も2~3倍になり、納税者の負担が大きくなります。そこで、「負担水準」を基準に「負担調整率」を設け、課税標準額は徐々に評価額に近づけていくことにしました。
このため、土地の価格が下がっても、課税標準額を評価額に近付けるために徐々に引き上げられているため、税額は上がるのです。
負担水準
負担水準とは、評価額に対する前年の課税標準額の割合です。
負担水準=前年度課税標準額÷(新評価額×住宅用地特例率)
(注釈)住宅用地特例率は、小規模住宅用地の場合6分の1、その他の住宅用地は3分の1です。
区分 | 負担水準(注釈) | 課税標準額の算定方法 |
---|---|---|
商業地等の 宅地 |
70%超 | 当該年度の評価額×70% |
商業地等の 宅地 |
60%以上 70%以下 |
前年度課税標準額に据え置かれます |
商業地等の 宅地 |
60%未満 | 前年度課税標準額+当該年度評価額×5%→【A】 |
商業地等の 宅地 |
60%未満 | 【A】が評価額×60%を上回る場合→評価額の60%の額 |
商業地等の 宅地 |
60%未満 | 【A】が評価額×20%を下回る場合→評価額の20%の額 |
宅地 | 80%以上 | 前年度課税標準額に据え置かれます |
宅地 | 80%未満 | 前年度課税標準額+当該年度評価額×1/6(又は1/3)×5%→【B】 |
宅地 | 80%未満 | 【B】が評価額×1/6(又は1/3)×80%を上回る場合→評価額の80%の額 |
宅地 | 80%未満 | 【B】が評価額×1/6(又は1/3)×20%を下回る場合→評価額の20%の額 |
更新日:2021年04月01日