対馬沿岸の藻場の減少

更新日:2024年04月12日

対馬沿岸の藻場の減少

かつて海底が見えないほど、船が通れないほどあったという藻場が今、消滅の危機にあります。
対馬沿岸では、1980年代から各地で藻場の衰退や消失が報告されるようになりました。当初は密漁が疑われるほど海藻が急減した地域もあったようです。
その後も藻場が衰退・消失する範囲は拡大し続け、現在ではほぼ全域に広がっています。

 

その理由には様々な説がありますが、

  1. 海洋熱波と呼ばれる高水温の継続による衰弱・枯死

  2. 大型台風等の波浪による流失

  3. 海藻を食べる生物による過度な食圧(食害)

  4. 泥などの堆積や、他の固着性生物との競合による生息適地の減少

  5. 栄養不足や有害物質の影響による生長阻害

 

などによって海中の“食う-食われる”のバランスが崩れたことが原因ではないかと考えられています。

また、これらの要因は複雑に作用し合っている可能性もあり、その対策を難しくしています。

上記の理由などによって海藻が消滅する現象は「磯焼け」と呼ばれ、海底には文字通り焼け野原のような光景が広がります。

 

磯焼けの定義

「浅海の岩礁・転石域において、海藻の群落(藻場)が季節的消長や多少の経年変化の範囲を

超えて著しく衰退または消失して貧植生状態となる現象」(藤田,2002)

対馬沿岸における磯焼けの進行。様々な要因により磯焼けは進行し続けています。
磯焼けとは、藻場が消滅し、海底が焼け野原のようになった状態のこと。海の砂漠化とも呼ばれます。

 

 

食害によって葉状部が欠損し、付着根と茎状部のみになったカジメ

葉状部が欠損し、”茎”だけになったカジメ

大型海藻が消失し、焼け野原のようになった海底

大型海藻が消失し、焼け野原のようになった海底

食害魚の一種として知られるノトイスズミ。以前から対馬近海に生息し、生態系の一部であった。

以前から対馬沿岸に生息するノトイスズミ。近年では“食害生物”とされる。

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