Vol.1 内山 琢巳さん(2/2)

更新日:2021年04月01日

実際に独立して実感する、手応えと難しさ

ーー 一産目を終えてみてどんなことを感じますか?

実際やってみると、帰って来ておじさんのところで研修中に頭で想像してたのとは、全然違いましたね。違うところもあるけど、まぁそれを言っても今更なので、ここからどんどん上を目指そうと思ってます。やってみてわかる厳しさも実感はしてます。

この仕事を始めてみて思うのは、それまで自衛隊の一員として組織の一部として動いて来たのと比べると、自分の考え一つで全部変わってくるんで、「一気にこうやって変えてみよう」とか、「自分らしく、これをやろう。」みたいなことは、やろうとさえ思えば簡単にできるのは楽しさも感じますね。

あと、僕が思うには牛飼いの中では、やっぱり「種付け」と「お産」が鍵なんですよ。タネがつかないと、そもそもその先の売上が立たないし、タネがついても、そこで安心してお産で失敗したら、その年は何十万ていう損失になるんで。種付けとお産をしっかりやって、あとは、栄養とかも考えながらにはなりますけどエサをちゃんと確保できれば、自分の想像する牛飼いが形になるかな。とは思ってるんですけどね。

ーー いま現在、とくに力を入れてることがあれば教えてください

基盤づくりですね。まず、基盤になる餌をつくる。牧草は、買ったりもしますけどできるだけ自分たちで作ろうと思ってます。

でも、この畑みたいに、耕作放棄地を解消して牧草を蒔くみたいなことをするとか。そういうこともちゃんとやらないと餌を作れる土地がそうそうないんですよ。なので、こういう土地でもいかに自分で耕してエサになる牧草を作れるか。が大事なんですけど、最初はそういうことはあんまり考えてなかったですもんね。

「誰かに言ったら綺麗な土地を借りられて、そこにエサ植えて頭数は増やせるだろう」ぐらいで考えてたんですけど、そんなには借りられないですね。綺麗な土地っていうのはみんな自分で植えてるんで。笑。

この基礎づくりも、5年ぐらいはかかるかな。とは思うんですけど、親父がまだ元気だし、色々手伝ってくれるので助かってます。仲間もこうやって顔だしてくれて話できるし、いろんな目標とか、どこを目指すかみたいな話もお互いできるので。

仲間ができた、っていうのは良かったですね。やっぱり何もなしに、一人だけでやるのとは違いますよ。

いろんな人から対馬は仲良しって言われることもあるけど、やっぱり繋がりは大事っすね。

同じ畜産やってる、お年寄りのお手伝いとか、何かしてあげられることないかなと思って削蹄もとりましたし。まだ自分も若いので、これから何かしら始めるならみんなの役に立てるようになったらいいな、とは思ってます。

ーー 削蹄とかもやってらっしゃる分、島内外でのお付き合いも多そうですね

そうですね。飲んだりすると、色々アドバイスももらいます。もちろん参考にさせてもらいますっていうお話もするし、参考になることもいっぱいあるんですけど、全部をその通りにするみたいなことは少ないかもしれないですね。

人のやり方は人のやり方でどれも間違いではないので、あとは「自分にとって、それがいいのか」って一度考えるようにしてます。そういう中で、自分でできそうなことは、吸収させてもらったり。そうやって、自分にしかわからない、自分のやり方の良さっていうのは追求してます。

たまに壱岐に競りとか削蹄にも行くんですけど、そういうときも、何日か滞在して。いろんなところ見せてもらったりするんですけど、壱岐の牛飼いと対馬の牛飼いとを見比べたりもできるので勉強にはなりますね。回ってみていくと、「この牛舎のここはいいな。」とか、「この飼い方のこの部分はいいな。」っていうのが、一軒ごとに必ずあるんですよ。

牛飼いも、必ずこうしないといけない。っていうのはないんだと思うんです。人に間違いだって言われたとしても、自分にとって正解ということもあると思うし。どんなやり方でも、その結果ちゃんと利益もあげられるなら良いわけで、それぞれのやり方ができるのが組織で働くのとは違うところですしね。

ーー直近の目標などありますか?

さっきも言いましたが、まずは5年で15頭までは増やそうと思ってます。

でも、牛飼いって一頭だけしかいない時も、何頭かまとめて飼う時も、作業時間はほとんど変わってこないんですよ。なのでエサが確保できて自分がちゃんと飼える範囲であれば、多ければ多いでもいいやとは思ってて。将来的にはまだ使える土地もあるから拡張していってもいいなとは考えてます。

(おわり)

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