Vol.14 銭本 慧さん (2/2)

更新日:2021年04月01日

「対馬2年目~フラットアワー設立~」

銭本慧氏3


ーー法人を設立して事業を始められています。一漁師(個人事業主)などいくつかやり方がある中で、この形態を選んだのはなぜですか?


研究員時代の後輩で、当時九州大学のポスドクだった須崎(寛和さん)と意気投合し、二人でやっていくことにしました。「持続可能な水産業を創っていく」というビジョンが明確にあったことと、将来的に教育や研究のコーディネート業務も事業内容になっていくと考え、法人格にするのが良いと考えました。


ーー始めた直後の地域の反応はどうでしたか?


自分たちが新しい取り組みで漁業をやろうとしていることはすぐに地域に広まり、地元の何人かの漁師が声をかけてくれ、漁法などいろいろ教えてくれました。定置網の漁師さんのところに手伝いに行くこともありました。それは、収入ということもありますが、魚の直販事業にとって安定的に魚を仕入れられる定置網は魅力的だと感じたからです。


ーー事業はどういった感じで動いていきましたか?


最初のころは漁協に出荷していましたが、最初の頃は漁協に出荷していましたが、今はインターネットでの情報発信を通して、問い合わせしてくれた飲食店や個人のお客様向けにほぼ100%直接販売しています。創業当初から売り込み をするような営業はせず、情報発信のみで行ってきました。最初は鮮度や梱包方法などで指摘を受けましたが、一つずつ改善していき、今では脂の乗り方など、魚の質に関する高度な注文にも応えています。届けた魚について消費者が SNS などに掲載したり、拡散してくれたりすることがさらなる口コミとなって、興味をもった新しい飲食店が注文してくれます。うまく続かないお客様もいますが、フラットアワーの魚を評価してくれたり、理念に共感して応援してくれるお客様が多く、長くお付き合いさせていただいています。

「現在と今後」

銭本慧氏4


ーー地元の人から移住者はいつまでいるのかなという視線を向けられることもあると思いますがいかがでしたか?


確かに移住してきた当初は「いつまで対馬にいるのか?」と周囲から言われることもありました。しかし、一次加工や急速凍結にも力を入れるため、融資を受けて新たに加工施設を建てるなど、ここを拠点に活動する意思を形で示したことからそういった疑問を持たれることはなくなりました。

直販では需給バランスを取ることが課題で、いい魚がたくさん獲れた時に売りきることが難しかったり、たくさん注文が来たときに必ずしもたくさん獲れるわけではありません。長期熟成処理や急速凍結などの技術で在庫を少し確保しつつ売っていくなど、新しいチャレンジを続けています。今後は加工品の開発も構想中です。

「対馬のこれから」


ーー地域活性化はどういったことで感じられると思いますか?


人口減少など避けられない大きな問題はありますが、変えられることもたくさんあります。変えられないことを悲観するのではなく、変えるべき変えられることを少しずつでも変えていって、仕事を魅力的なものにしていくことが大切です。そのような試行錯誤が地域には必要なんです。そのような試みに共感してくれる方々が対馬を訪れてくれて、結果として関係人口が増えてくると思っています。

(おわり)

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